プロの道具箱 VOL.106HIRO THE BARBER | ライオン･ヘアサロン･グループ

HIRO THE BARBER
代表 ACO （アコ）

創業50年、父から母へ、そして私へと引き継がれる。山口県で女性理容師が輝くバーバーを提案するACOさん。今回はHIRO THE BARBERのACOさんの道具箱をご紹介いたします。

TOOL BOX TOUR

道具は、直接触れて、自分の手に合い馴染むと感じた物をー
そして、直感で好きになったものです。

SCISSORS

―私の鋏を選ぶポイントは、一鋏の時の感触です。自分の手から感じるものは確かだと思っています。

（右より）　TKK BL2
初めて持った鋏。細く繊細な鋏で、今は直をかける時に使用しています。他のTKKの鋏より、この鋏が1番手に馴染んでいるので、研ぎに出して戻った時の開閉時の粘り感が苦手で、研ぎを出すのに、いつも躊躇します。微調整が難しい鋏ですが、この鋏が1番好きです。

R elax scissors 空KU 6.25インチ

R elax scissors ピッチ
両刃が櫛刃になっている鋏。

R elax scissors 6インチ

R elax scissorsは、シザーズクリニックHIROさんの鋏。
職人気質で鋏の素材・切れ味・想いと拘りが強く、切り口の断面まで考えて作られた鋏。安心して鋏をお任せしています。

CLIPPERS

WAHL／ヴィンテージ・シニア、100周年　コードレス・スーパーテーパー、ペレ、ヒーロー・ヴィンテージ

もう１台のWAHL100周年限定モデルは尊敬するアパッシュの川上さんのサイン入り。「上手くなりたい」と常に思わせてくれる大切なバリカンです。

惜しまれつつも終了したマツオカバリカン。
マツオカバリカンは、私の理容師人生スタートのバリカンです。
替刃もコードもストックがあり、今もまだ使用しています。

左から2番目は、親から譲り受けた昔のWAHLバリカン。長年マツオカバリカンを使用していたのでコードレスタイプがサイズ感も重さも1番手に馴染みます。溝付きタイプの刃が滑り易く使用し易い為、パワーのあるWAHLバリカンの刃は溝タイプにしています。

COMB

荒刃櫛は、母の手作り。髪を拾い易い様に、お客様に当たっても痛くないようにと、先端をヤスリで削ってあります。

RAZOR

FEATHERのレザーは、これで4本目。

子供の頃、父が革砥ベルトで分厚く重みのある日本剃刃や西洋剃刃を慣らしていた姿が好きで記憶に残ってます。

若い子は、初めてのシェービングに感動してくれますし、「剃りで眉を整えるだけで男前に見える」と、私達のスタッフはいつも言っています。女性目線からですが、確かにそう見えます。
髭を作られている方でも、シェービングしているかしていないかで、髭を引き立てる違いを感じます。「シェービングが無いと嫌」と仰って下さるお客様のご来店はとても励みになります。

TONGS

親の時代はアイロンが流行った時代。お陰で何種類も数多くのアイロンがあります。中でも、フクゾウアイロンが1番好き。仕上がりに絶妙な柔らかさを出してくれます。IC温度コントローラー(トランス)使用。

幼い頃、他店舗の合同練習会に混じってアイロンを触っていました。小学生が見様見真似でアイロン操作して、結果、顔に火傷するという思い出があります。笑
幼い中にも、お姉さん達がアイロンを使用して男性の髪型を造る姿が、とてもカッコ良く見えた事を覚えています。

ラディアントWは、若い世代の方が好む髪型が作れる、とても画期的なアイロンです。「新しい」と感じるアイロンですね。

AMENITY

ポマードはBROSH、何種類か試しましたが、使いやすですね。
REUZEL トニックは香りが好きで、お客様からも好評です。
香りは男女と好みが違うかと思うのですが、このトニックの香りは男女とも好評価です。サロン内でも香り付けに使用しています。良い香りです。

最近の男性はお肌が弱い方も多く、シェービングの行程や使用するスチーマーやシェービング商品・スキンケア商品にも気を使っています。
スキンケアは、常在菌炭酸化粧水＆美容液 H•JIN Beauty がお勧め。
皮膚常在菌のバランスを整え、男性はこれ1本でOK、女性の方には1番最初にプラスしていただきたい商品。

シャンプー＆トリートメントはCOTA
私自身も長年愛用しています。サロンで使用するものは、自身が試し納得した商品を使用しています。

ACSESSORIES

刈布はWAHL。率直にカッコイイですよね。

FACILITY

TAKARA BELMONT

色々なメーカーさんがありますが、やはりタカラは老舗だなと思います。前の椅子は30年以上ももち、メンテナンスもしっかり対応してくれます。
お客様からは『この椅子に座ると眠くなる』『座り心地と鋏の音・リズムが心地良い』と、嬉しいお言葉を頂きます。私達の仕事と合うように計算されて作られているのだなと感じます。確かに高価なものですが、やはり良いものは良いなと感じる物です。

INTERVIEW

―HIRO THE BARBERでは女性の経営者そしてスタッフも女性ですが、女性理容師のみで運営されているお考えや問題点をお聞かせください。

理容から始まり、美容・エステ・ネイル・エクステ・メイク等と、色々と学びました。そこで全ては理容の基本をベースに考えられているなと、そしてそれだけ理容の基礎はしっかりしている技術なのだと感じました。

今バーバーブームの世界では、男性理容師が、色濃く強くとても魅力的に表現されている中、いかにして女性理容師が表現できるのだろうと、常に考えてきました。
その中でも、男性に勝てるとしたら、それは女性目線のカッコよさ、男らしさなのではないでしょうか。ヘアデザインにしても、男性が作るものと女性が作るもの違いますから。女性理容師としての柔らかさを強みにして、表現していけたらと思っています。

―理容で働く女性の活躍と現状と課題は？

業界全体が人手不足の中、女性理容師に拘る私達は、更に間口を狭めていると思いますが、女性理容師が鋏と櫛を持ち、色濃い男性社会の中で活躍する事を実現したいのですね。

スタッフの中には『何も無い自分に自信が持てた』と、言ってくれた子、美容師から理容師へと新たに道を選んでくれた子や、自立して生計を建てている子も様々あります、そんな男前の彼女達を常に応援し続けたいと思っています。

女性はライフスタイルが変化し、泣く泣く理美容の世界から退く方もいらっしゃいます。時間の問題・お金の問題・家庭と仕事の両立等、問題も多く、様々な形で周りからのサポートが無いと難しい仕事です。特に子供さんを抱えた女性には、何の仕事でも大変かと思います。

女性として母性と仕事のキャリアの狭間で悩む人もいます。女性ならば、誰もが通る道なのかもしれません。
どちらに重きに置くかは人それぞれですが、出来れば両方叶う職場作りをしたいと常に考え動いています。お客様も大事ですが、正直お客様よりスタッフの事を先に考えてしまいます、なぜなら彼女達の笑顔が、サロンの雰囲気を作り、お客様のくつろぐ場を作ると考えています。
女性理容師としてのライフスタイルのバランスは常に意識して行かなくてはなりません。

―HIRO THE BARBERの今後の目標は？

私達のお店で働くスタッフは女性ばかりでしたので、理美容性の働き方について色々と考える事がありました。
去年から週休2日にしたり、シフトも調整したりと、諸々と変更をしました、なぜならば、女性のライフスタイルが変わっても理美容師として仕事を続けられ、活躍できるサロン創りを目指しているからです。
また、髪を切るだけでなく、その場の空間を楽しみ、余裕のある時間を過ごして頂く次世代のバーバー、ビューティーとして、カットだけではなく、シェービングやエステ、ヘッドスパの技術も大事にしています。

近年では雇用が難しい業界ですが、次世代の人達から理美容にもっと興味を持って貰えるような、魅力的でカッコイイ女性バーバーを増やしいきたいですね。