プロの道具箱 VOL.103SPINNER BARBEARIA | ライオン･ヘアサロン･グループ

SPINNER BARBEARIA
オーナー佐々木雅人 (SASAKI MASATO)

外国人の多い滋賀県湖南市の生活に密着し、その独特な地域にあったバーバーを展開するSPINNER BARBEARIA。今回は独学で習得したポルトガル語を活かし、外国人の生活を支える、佐々木さんの道具箱をご紹介いたします。

プロの道具箱VOL.20でも登場いただいた佐々木さん、今回、ショップリニューアルに伴い再登場いただきました。リニューアル前も併せてご覧ください。

TOOL BOX TOUR

「道具を選ぶ基準は使いやすさ。メーカーに拘らず色々と気になるのを買って使い比べて、自分に合うのを選びます。」

SCISSORS

天洋G2／TOGINONスパーブ／両口堂

セニングは全て両口堂を使用。左から毛先の処理用に３０パーセントの特殊なタイプで残りは両方とも２５パーセントで質感も同じものです。
特に真ん中は、両手でセニングを２丁持って使う場合があるので左手用にオーダーしました。

CLIPPERS

クリッパーは特にコードレスタイプが好きでよく使っています！

クリッパーは主にWAHLマジッククリップをメインで使用。
クリッパーの数が多いのは、両手で２台使ったり、グラデーションをかけたり等、用途によって刃の設定を変えているからです。見分けがつきやすい様に外観を全てカスタムしています。

トリマーはPULIS社製とKEMEI社製で肌に優しくて短く綺麗なラインを出せる様にメーカーに拘らず海外から沢山買い比べました。
シェーバーはbabyliss社製とKEMEI社製の２種類で剃れる深さの違うのを使い分けてグラデーションを作っています。

クリッパーのアタッチメントはアームサポータにつけて使用します。このアームサポーターを自分でカスタムしました。立ち位置と姿勢を変えずにアタッチメントの交換がスムーズにできます。このゴールドタイプは海外通販で購入しました。

AIR BRUSH

エアブラシは生え際のラインアップを塗装する際に使用します。
コンプレッサー内臓のコンパクトで充電式のタイプで塗料とエアーの操作が独自している２アクションでなく、塗料の調整のみの１アクションタイプです。

塗料はエアブラシ用のフェイクタトゥー等で仕様するボディペイントインクを仕様しています。エアブラシは吹き付けよりも本体が目詰まりしやすいので、メンテナンスが重要ですね。

バーバーバトルでも使用し、多くの方に興味を持って頂きました。

RAZOR

シェービングのレザーは日本剃刀を良く使用しています。拘りというよりは、修行時代のサロンで日本剃刀を教わったからで、今でも使用しています。
レザータイプの剃刀は刃幅が短いタイプなので額のラインアップやレザーアートなどの曲線や細かい部分に使用しています。

COMB

カットコームは前回の[プロの道具箱VOL.20]で紹介して頂いた頃と同じタイプを使っています。

AMENITY

ACSESSORIES

カットクロスはデザイン重視で色々使っています。
お客様のファッションや雰囲気に合わして気分で変えますね。
LHSGのカットクロスは今までにないくらい軽やかで、質感もサラサラでとても気持ちいいので気に入っています。

FACILITY

今回のリニューアルは中南米とブラジルにあるスラム街ファヴェーラの２つをテーマにしました。
14年くらい前、外国籍の方(特に南米)が多く住んでいる街のサロンで修行した時にフェードカットや南米文化を知り、好きにったのがきっかけです。
今は来客全体の半数近くは外国籍のお客様です。

自分な好きな物をお店のインテリアに落とし込んでいます。
ボディピアスやお店の名前の由来になったヨーヨーにフレアバーテンダーの練習もしていたのでバーカウンター風の待合席もあります。

INTERVIEW

―今回のリニューアルはかなり尖がった方向だと思いますが、お客さんのターゲットはどの年代でしょうか。子供やお年寄りは入りにくいかと思ってしまうのですが、その辺りはどうお考えでしょうか。

今回、中南米をイメージしたサロンにした理由は、店舗のある湖南市自体が製造業の工場が多く、昔から外国人労働者の受け入れをやっているからです。特にブラジルとペルーの方が多く、今では来店５割近くは外国のお客様です。
湖南市自体が昔から国際交流が盛んなので、この様なスタイルにあまり抵抗なく国籍問わず子供からお年寄りまで来てくれていますよ！

―独特の地域の生活に密着した雰囲気創りなんですね。言葉の問題は？

僕はポルトガル語で対応しています！今までの環境で自然に覚えましたね。
基本的には日本に住んでいる南米の方のほとんどが日系人なので外国人とはあまり思ってないですね。リニューアル後のお客さんの反応はとても良いですよ！

―日本人と外国人は髪質だったり、好みの髪型も違うと思いますがその辺りはどうですか。

髪質も好みもですが、文化も言葉も全然ちがう事、そこが外国の方は不安になる要素ですね。沢山勉強して解消しましたね。
ただ日本人も外国人もみんなカッコよくなりたいって気持ちは同じだと思います。
元々メンズ全般の髪型は興味あったので今でも色々勉強しています！

―これからオリンピックも控え外国人のお客さんが増えると思いますが、その辺り佐々木さんが考える外国の方の対処方法について教えて頂けますか。

まずはスタッフ自体の対応ですね。言葉等がわからなくて最初から不安な対応だとそれだけでも相手が不安がります。今の時代ではスマートフォンなどのツールがあるのでInstagram等で色々とスタイル写真など見せて、大丈夫だよって言う姿勢が大切です。
あと日本人の方より意識が高い方が多く、スタイルをしっかり決めて来店される場合が多く、ほとんどの方がフェードスタイルなので、色々なパターンのフェードスタイルを勉強しておいた方が良いと思います！

―意識高めなんですね。

外国人のお客様は小学生くらいから自分で髪の毛をセットしたり、好きなスタイルの写真を持ってきたりする子が多いです。デートしたり彼女がいる子も多いです(笑)

スタッフの宮嶋将太さん（左）

―多くのバトルの出場やセミナーの講師などでご活躍されている佐々木さんからみて、今後の令和バーバーはどうなってくると予想されますか。また何が必要になってくると考えますか？

日本でバーバーイベントが５年くらい前から盛んになってきていますが、最初は情報やツール等が日本にあまり無くて情報を収集する期間だったと思います。最近ではそれらを手に入れる事が容易になり全体のスキルが上がってきていると大会やイベントで感じました。
そして今後は個々が自分の存在をグローバルに発信してお互いに新しく情報を交換していく共有の時期だと思います。なので今後は益々SNSが必要になると思います。

―最後に読者へのメッセージをお願いします。

｢大会などですごく楽しそうにカットしているけど、どうやったらそうなるの？｣と良く聞かれます。
自分自身ではあまり意識して考えていなかったんですけど、とにかく大きな目標や大きな夢を設定してそれに向かって一生懸命やるって事ですかね。
不可能だとか失敗に恐れず何でも挑戦ないと成功どころか失敗すらしないですもんね、学べば学ぶ程それが好きになっていくと思います！