プロの道具箱 VOL.104
吉田理髪店

吉田理髪店 二代目オーナー
吉田 直樹 (YOSHIDA NAOKI)

地元富山を愛し、昭和、平成、令和を生きる、創業60年「吉田理髪店」の二代目。「若い世代」へのバトンパス、若い世代が何か新しい事、面白い事を始めようとしているのなら少しでも協力したい。
今回、そんな温情溢れる吉田さんの道具箱をご覧ください。

TOOL BOX TOUR

「人とかぶらない、新しいモノにこだわらない。 俺はヘソ曲がりなんで、それで良いんですよ(笑)」

道具って欲しくなるし、新しいモノ出ると、欲しくて我慢できなくなるんですよ。でも、オレみたいなもんがメチャ高い道具買っても、様にならんでしょ 。(笑)

SCISSORES

俺はメーカーにはホント疎く、こだわった事は無くて。当たり前だけど、刃先まで良く切れて手に合うモノを選びますね。刃先は仕事にもよるけど、削って細くしてもらいます。
今は廃業した叔母のハサミを調整して使っています。メーカーは知りません。

CLIPPERS

俺の中でクリッパーは音。
ハサミのシャカシャカやサクって音が心地いい。最近のクリッパーも安定して良いんですが、あの音の味気無さは好になれないですね。
切れ味が柔らかいのが好きなので、刃はほとんどセラミックに交換してあります。基本的にはWahlを使用しますが、今はOsterのカタカタって音がなんか懐かしくツボで、年配のお客様に良く使ってます。

トリマーは全部微妙に刈り高(1mm〜0.3mm)が違います。
コードレスとコード付きはパワーも用途も違うのでカット方法で使い分けています。
トリマーを上手く安全に使う為に、極端な刃の調整はしない様にしてます。
今のお気に入りはandis 、スリムラインです。細かい仕事ができますね。

調整レバーをドクロに。アクセサリー職人「モリタカツヤ」のオリジナルパーツ

COMBS

コームはヒカリとYS、チャンピオンコーム。 角度グシは理容学校の授業で作ったモノです。最近の理容学校では作らないのかな?

アクセサリー職人「モリタカツヤ」のオリジナルパーツを装飾

ACSESSORIES

「8BALL BARBER SUPPLY」のカットクロス

ユニフォームは2人娘の次女が背中にイラストを書いてくれました。これを着ると頑張れますね。

使っているのはBABYLISS  Proラピード BAB7000KJの1400Wイオンドライヤー。
※BAB7000KJは、イタリアの自動車メーカーとしてあまりにも有名なあのフェラーリと共同開発したモーターを搭載したドライヤー。「サロン仕様」とうたっており、とにかくパワフルなのが特徴です。

これで7割くらい乾かして、セットは600Wのモノを使います。古いドライヤーですがこっちの方がしっかり熱が当たり使いやすいです。個人的には450Wでも良いと思っています。

TOBACOO

紙巻きタバコを吸っています。
普通は手巻きで作るけど、ジャグローラーも使います。
シャグはブラックスパイダーかコルツですね。
イベントとか行った時に喫煙所で、火貸してとか、タバコ1本ちょうだいとか言って、ありがとうって店のステッカーを渡します。それを見ている人にも 「もらってね〜」って言われ、渡します。これも社交っていう道具ですかね?(笑)

FACILITY

店のコンセプトは「雑多」でポマードをゴソゴソと出すのがカッコイイと思っています。目標はもっと店をごたごたさせる事です。

俺は、ほぼ一人で仕事しているので、自分のテンションを上げ楽しむ事も考えています。 クリッパーやコームにアクセサリーを付けたり、ポマードを集めたり、気に入ったカットクロスなどを使ったり、毎日を楽しめています。次女がイラストを書いてくれたユニフォームを着ると頑張れますね。

富山県でもローカルな地域でNBsGって言う、チームを作りみんなで、トレーニングをしたり情報交換をしたりしています。
堅苦しい上下関係はありません、俺はリーダーでも無く皆な、仲間って感じです。これからは、理容美容の業種を超えた仲間が集まり面白いチームになり新、しいバーバー ってモノが見えてくる事を考えながら頑張りたいと思っています。

 

INTERVIEW

―富山の理容美容業界は吉田さんから見てどのような状況ですか。

理容は後継者が少なく衰退していくと思います。なり手が居ないので当たり前ですけどね。
でも、オレが知っている若い子達は、ホント頑張っているし、楽しんでいると思いますね。でもこの業界は縦社会な所もあり、若い子達は、まだ遠慮気味ですね。全国で頑張っている同年代の理美容師さんとお付き合いして、刺激をもらえば自分達の方向性が定まって富山県にも面白い店が増えるもしれませんね。

―吉田さんはダブルライセンスをお持ちですが、どうして取得されたのですか。

俺は26歳の時に美容のライセンスを取ったのですけど、それは単純な考えで、理容の仕事には限界があると勝手に思い込んでいたのです。 美容も勉強すればもっと出来る事が多くなると思っていました、まぁ当時はそんな時代だったんです。 いずれ理容、美容は同じライセンスになるって言われていましたし、それから30年以上たっても、こんな感じですもんね。

―昭和、平成、令和と理容で仕事をされてきた吉田さんからみて、今の理容をどうとらえますか。また、どう思われますか。

あんまり言うと批判していると思われるので(笑)
ただ こんな時代に理容、美容師目指し、お店を頑張っている若い方はホントにこの業界が好きなんだなと思います。また、俺が出会う方達は、業界を楽しい場所にし、未来もちゃんと考えています。俺が出来る事はみんなの邪魔をせず、うまくバトンを渡す事だと思っています。

―最後に読者へのメッセージをおねがいします。

偉そうな事言えませんよ〜(笑)
もう同業者同士でお客さんを取った取られたみたいな、他店批判する時代は終わっていて、今は多くの理美容師がバーバー スタイルを一緒に見て、楽しむブームって時代になったね。そして、さらに新しいモノを生み出すんなら、やっぱ皆んなで同じ方向見て協力しないとね、それが自分を助けてくれるかもしれないし。

 

INFORMATION

吉田理髪店
住所:〒938-0086 富山県黒部市生地257
営業時間: 8時~19時
定休日:月曜日 第1第3日曜日
電話: 0765-56-8429

FACEBOOK  https://www.facebook.com/naoki.yoshida.5
twitter     https://www.instagram.com/naoki_barber/