プロの道具箱 VOL.123
BARBER 88

BARBER 88
代表 藤林 良雄(HUJIBAYASHI YOSHIO)DORA

関西バーバーの中でもひと際、異彩を放つ存在。
「トレンドを追いかける」ではなく、本当に自分に似合うものがわかりセンスがいい。今回はそんな「存在がおしゃれなバーバー」藤林さんの道具箱とバーバーライフをお届け致します。

※前回プロの道具箱VOL.62に登場されていますので併せてお読みください。

TOOL BOX TOUR

「道具を選ぶポイントは、やはり直感でしかないとー
それまでの経験から、道具は自分の五感に素直に選ぶ、後は愛着を持てば、道具は言うこと聞いてくれ、そして身体に馴染んで行く」

よく営業マン時代(この業界にはいる前は、理美容問屋の営業をしていました)に経験した事ですが、価格が高い安いで選んでしまうと飽きて直ぐに使わなくなってしまう技術者の方が多かった気がします(そのおかげで営業の成績が上がるのですが (笑))
道具もお客様も感謝の気持ちが長く親しまれる秘訣です。

SCISSORS

前回の記事でもお話ししましたが、実はハサミを購入した事がなく、ディーラーで働いていた時に、メーカーさんと会社から持ち歩かされていた物を、そのまま頂いきました…
勿論、自信を持って営業マンとして鋏をお客様に伝えていた物ですので、ある程度こだわりはあります。

CLIPPER

あれこれ持つ事に少し抵抗と言うか、無駄に感じる性格なのか、あまり沢山のバリカンを使う事はありません。
施術中にバッテリーが切れるストレスを感じたくないので、コードレスはPanasonicを使用しています。

COMB

AMENITY

国産、国外問わず、沢山の整髪料等を使ってきましたが、今はこの水溶性のクールグリースのスペリオールのシリーズのみです。
瓶に入っているのと、パッケージが好きなアーティストさんのデザインで気に入っています。勿論使い易さがこれに収まった気がします。

ACCSESSORIES

カットクロスは中村商店さん
茶色のクロスは数年前から使っているのですが、未だに問題無く使える位物が良い、むしろ味が出てきた感じです。
それまで使っていた既存の物は汚れてくるし、傷んでくるだけで使い物にならないし、何の愛着も湧かない製品でした。今回お店の移転を機にカットクロスを新調しました。

BARBER’S POLE

1番大事なサインポール Marvy社の88モデル!
この存在感はハンパなく最高!
しかも88モデル‼️ 日本のメーカーにはない雰囲気と、回転の速度が本当良い意味で丁度良いです。

お店の外装はまったくいじらなかったのですが、このサインポールを付けただけで、お店の顔になりました。

FACILITY

2020年11月にお店を移転をしました。
営業マンを辞めて、この業界に入って23年前に独立させて頂いたのですが、最初のお店で10年間、次のお店で12年間営業をし、今回3店舗目の新たな理容室をオープン出来る運びとなりました。

普通なら、独立してその場所で安定の住処を作るか、ご家族の後を継ぎ継承して行くパターンが多いと思います。独立するにあたり移転は当初から決めていた事で、なかなかこの業界では稀にみるケースだと思います。

何故そうしたかは少し話が長くなってしまうので、何かの機会があれば話します (笑)
まぁ今風の言い方で言えば、ノマド(放浪者)な感じなんでしょうかね…

お店のコンセプトは、物件の外装が地方の田舎にある無人駅の様な雰囲気だったので、外装はそのままで、中に駅の待合室の様なカウンターを作り、そこで昔のようにキップ買うみたいなイメージにしました。店内に入るとまた違う雰囲気で、2度美味しいみたいな感じに仕上げました。

今回お店を作りあげて行く時に思案したのが、バリバリな都会にあるバーバーはではなく、あくまで三重の地方にある床屋さん。お店に来て頂いているお客様の層の幅が広いので、いわゆる最近流行りの店内にするのは違うと思っていたのです。

イメージをあくまでローカルに徹するにはと考えていた時、いつもお世話になっている、APT.HAIR Service(兵庫県宝塚市)の丞さん(兄貴)にいろいろとアドバイスを頂きました。だいぶマネさせて頂きました(笑)※プロの道具箱VOL.109に登場

自分のカラーを出したい所はお店の片隅には作りましたが、あまり出し過ぎ無いようにと姉やスタッフからの意見もありました。

今回の移転が僕の理容業として、終の住処となると思っています。
移転をすることの不安、今まで営業させて頂いていて、定着してきた場所から、遠くに場所を移す事に心配でした。しかもこのコロナ渦でかなりストレスはありましたが、むしろその事も踏まえて、ピンチはチャンスでありましたし、今回移転に挑戦した事でかなり自信が持てました。

まだまだ僕の中ではやりたい事だらけで、三重の地方の田舎の床屋でやれる事は沢山あるなと思っています。そして、その構想が一つずつ実現出来れば良いなと思っています。
今回沢山の同業者様からも御指導頂きましたし、お祝いを頂きました。
スタッフの協力が無ければ、実現出来ませんでしたし、改めて1人では何も出来ないと実感をしました。

 

INTERVIEW

―今回3回目の移転となりましたが、移転のメリットデメリットを教えていただけますか?

大変だった事は、営業しながらの移転の準備です。仕事を終えて移転先の改装を夜な夜なすることは本当に大変でしたが、今振り返ると充実感と達成感で満ち溢れていて、楽しい事だらけでした。

移転をしてから三か月程経ち、前のお店から引き続きお客様は来店してくれていますし、移転先の新たな地域の方々が新規で来てくれる様にもなっています。
1回目、2回目の移転の経験も踏まえ、学んだ事や感じた事をこの3回目の移転にいかせた事が自信に繋がりましたし、不安は杞憂に終わったかなと思います。
デメリット、あえて言うなら、預金通帳の残高を見るのが怖い(笑)

―藤林さんのお店は移転前もそうでしたが、和風モダンな感じでとてもセンス良くまとまっていますが、何をイメージしているのでしょうか?

イメージありきで造っていると言うより、自分自身が今迄観たり、聞いたり、知って来た好きな文化やカルチャーを繁栄して、それを物件の良さに落とし込みました。
けれども、今が完成ではなく、これからエイジングしていき、店舗が革の質感みたいに使い込んで良さが出来る様な感じになる事が楽しみです。

―藤林さんの人生がお店の造作に反映されているのですね。造作にあたりAPT HAIR Serviceのタスクさんかアドバイスをいただいているようですが?

「もっと自分らしさ全面にだしてカッコつけなよ」って、そして「カッコつける事って決してカッコ悪い事やないし、間違ってカッコつけるのってダセェけど、自分らしさのカッコ良さ出していけば、理解してくれ、惹かれ、付いてきてくれるはずやからっ」と言われた事です。

お店の移転を決めた時に、自分が欲しているイメージ(ローカルに徹していてカッコいい)に、1番思い当たるのがタスクさんのお店でした。お店に伺って、何か突っ掛かりが解けた感じでした。何かね、人柄もそうですし、ほんまメチャクチャタスク兄ちゃんカッコ良えです(笑)

―これからお店を出そうと考えている方へのアドバイスはありますか?

行動それに尽きます。やるかやらないか2択しか無いので。
いろいろ準備は必要ですが、特に人との関係は大事だと思います。同業者の方々から沢山ご教授頂きましたし、特にスタッフにはホンマに足向けて寝られない位に助けてもらいました、1人では何一つ実現できないですよね。

―集客方法について何かお考えはありますか?また営業面でのこだわりは?

どれだけデジタルな世の中になっても結局のところ、人が人を呼ぶ、人は人につくと常々思います。結局、集客は口コミが1番信頼をおけると思いますし、大事な所だと思います

営業面でこだわりは、これと言って無いのですが、スタッフにも良く言われる事ですが、働ける場所環境が楽しいって思える事が凄く大事だと思います。

―働く環境が良いと雰囲気も良くなり、お客様の信頼につながるという事ですね。お客様の年齢層は?またどんな方が多いのですか? 外国人のお客様が多い様ですが人気の秘訣は?

女性は一切受け付けしていません。
お客様は僕みたいな変人な店主でも理解してくれる心の広い持ち用の人達です(笑)

三重は割と全国的にも海外の労働者の方が多いのもあります。
お話を聞いてみると、外国人と言うだけで断られたりして、その様な方が探して来てくれるようです。コミュニティが密なので、一度来店して頂くと、その方達が紹介してくれて、また知り合を紹介していただけます。
これはホンマ日本の方に言いたいのですが、これだけグローバル化になって来ていますし、彼等は日本に来て、働いて税金も納めてちゃんと生活もしているのに「外国人」って言い方や、くくりにする感覚ホンマ辞めて欲しいです。

―藤林さんの営業面などの悩みってありますか?

床屋稼業が毎日楽しくて悩みはありませんけど、キャッシュレス決済の導入を悩んでいます。
コロナ禍でキャッシュレスの波が一気に寄せて来ましたね、ただ手数料代や企業側の情報管理などまだ考えさせられます。まあ、今のところまだ様子見で、現金のみで営業ですかね。

―コロナ渦での現在の状況はどうですか?

コロナの影響は今のところほぼ無いです。
むしろ自粛で、どこにも行けなくて暇やからってお客様の来店頻度が上がっているきがします。
逆にお店の移転の際の資金繰りにはこの状況は良かったきがします。ピンチはチャンスなのですかね。

―藤林さんの今後の目標は?

この業界に足を踏み入れて、最初の独立をした時に、とにかく10年間をスパンに2回は移転をして行こうと掲げて、ようやくその最後の終の住処を作る事ができ、目標を実現できました。

今後は高齢化している地方の理容業界を盛り上げて行きたいです。そして、同じような悩みを抱えている異業種は沢山あると思うので、そんな方達と何か面白い事が出来ればなと構想を練っています。

―街の高齢化による地域経済・社会への影響は大きな問題になっていますね、最後に藤林さんから読者へのメッセージをお願いします。

移転の際に本当に沢山の同業者様から、お祝いを頂いたり、メッセージを頂いたり、励みになりました。
本来なら直接ご挨拶をしたいのですが、このコロナ禍でイベント等も無くお会いする事も出来なく、改めてこの場をお借りします、ありがとうございました。
また同業者様、関係者の皆様にお会い出来る日を願い、これからも理容業に精進して行く次第ですので、これからもよろしくお願いします。

 

INFORMATION

BARBER88
住所:〒514-0042 三重県津市新町3丁目5−6
営業時間:9時00分~19時00分
土曜日日曜日 9時00分~18時00分
定休日:月曜日 火曜日
電話: 059-226-2001
Instagram   https://www.instagram.com/barber88.shop/
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