スナックB/B スペシャル 女性バーバーの働き方改革/新時代の女性バーバーの働き方・生き方

理容業という男性社会のビジネスにおいて女性がクリエイティビティを発揮し、新時代の価値を創出する時代。これからの女性バーバーに必要な知識やスキル、環境とは何か。実際に現場で活躍する彼女たちのリアルな声からのヒントを探る。

GUEST
JUNES原宿 プレス/スタイリスト 齋藤 晴夏 宮城県出身
ロバーツ吉祥寺 マネージャー/広報 乾 瞳 東京都出身
BARBA TOKYO B1 マネージャー 松島 かなみ 北海道出身

INTERVIEW

 

「理容業界自体よく分かってないままこの世界に入ってきたー」

ー美容の様に華やかではなく、男性が多い理容業界で働こうと思ったのはなぜ?

松島 美容も興味はあったのですが、理容は逆に女性が少ないし、その中では力を発揮しやすいと思ったからです。

齋藤 私はダブルライセンスを取りたかったので当時通っていたヘアサロンの方に色々聞いて理容から始めようと決めたのがきっかけです。でも実際理容をしてみると楽しく、結局ダブルライセンスは取らず理容一本にしました。

 私は美容師志望で願書を専門学校に提出した時、受理された方が理容科の先生で「理容科にこないか?」と口説かれ、その場で願書を書き直し理容科に入学しました。男性が多いというか理容業界自体よく分かってないままこの世界に入ってきたので、男性が多い職種なんだなと知ったのはだいぶ後で知りましたね(笑)

ーやはりみなさん美容には興味はあったのですね。現代社会、女性は男性に比べ、出世しにくいと言われていますが、実際はどう感じでいますか?

齋藤 世の中的にはそうなのかもしれませんが、全ては気持ちの持ちようとやる気のような気もします。結婚や出産による離脱=出世しにくいという根本を変えないと変わらないと思います。もちろん現場にいないと難しい部分はたくさんありますが、いなくともできる仕事はたくさんあるのでそれを見つけてあげられる幹部の方がどのぐらいいるのか?ということかと思います。

 確かに会社という枠組みの中、女性だと結婚や出産で長期の休み・退社してしまう可能性があるので重要なポジションを任せにくいかもしれません。もしそうだったとしても、実力があれば任せてくれると思いますし、環境にもよるのかと思います。「男性だから」「女性だから」と区別されないことが大切だと思います。

松島 本当にそう、「男だから」「女だから」といって区切る必要はないのですよね。各々得意なこと苦手なことを認めあうことが大切なのではないかと思います。

労働人口、そして理容師の減少で、女性の戦力化が必須になる現在、理容という中での女性の働きやすさとは?

齋藤 この仕事はなんとなく労働時間長いイメージがあると思うので、時間を自由に設定できるシステムや、一人一人に合わせた労働環境をつくれたらベストかと思います。
(なかなか難しいとは思いますが)

松島 確かに、労働時間はその人に合わせたシフトなどでの承認してくれる様になると女性は結婚、出産がありつつも仕事も視野に入れていけるのではないかと思います。

 環境については女性スタッフが沢山いるとか、お店が可愛いというのもポイントだと思います。
女性スタッフがいるというのは、安心につながります。やっぱり女性ならではの悩みや事情など色々ありますから、そういうことを相談できる先輩がいるというのは、心強いし働きやすくなるのかな。

松島 女性が女性であることに不安を感じさせないような環境があればもっと女性理容師は評価されると考えます。

 

「男性社会ビジネスということを武器にすること-」

女性進出において環境の変化は必須ですね、理容師という男性社会のビジネスにおいて女性がクリエイティビティを発揮しやすくするには?

松島 女性がまず「私は女だから…」などといった性別のフィルターをなくして、ただ真っ直ぐに仕事をすれば、自然とクリエイティビティを発揮できると思います。

 女性だからと区別したり特別扱いしたりしないことかなと思います。そして男女に限らず、色々な制約を気にしないでスタッフが思いきりハジけられる環境があるかどうかでしょうか。

齋藤 男性社会ビジネスということを武器にすることです。(女性感をだすということではありません笑)
男性の感性と女性の感性はいい意味で違うので、女性の良いところそして男性がもつ良い部分を吸収することが、近道かと思います。

確かに女性の感性は男性にはなかなか表現できないのでその辺りは強みですよね。
あと最近はSNSもビジネスに欠かせないツールだと思いますが、みなさんはどんな活用をされていますか?女性ならではの活用はありますか?

齋藤 ビジネスに欠かせないというか、自分が好きなもの表現するために欠かせないとツールかと思います!なにかとSNSアカウントを書く欄があったり、聞かれたりしますよね!
お店のアカウントなんかは学生も見てくれるので求人につながるかと!

松島 スタッフ出勤状況、お店の混雑状況などはもちろん店内の雰囲気、髪型や作るスタイルの雰囲気を簡単に伝えられますね。

 私はこんな時代にSNSにあまり力をいれていません。かなり時代遅れだと思います。でも自己アピール、宣伝、集客、求人。さまざまな方面に役立つSNSは絶対やるべきですよね。ここでの他の皆さんの回答を参考にさせていただきます(笑)。

ー自由に発信が出来、多くの方に届けられるSNSの大切さもそうですが、私に次回もお願いしたいと思わせるには?ファンの増やし方は?

松島 そうですね、やはりお客様に寄り添う事ですね。やりたいスタイルをしっかり組みとることや、来店された時の気持ちの変化にしっかりと気づくことが大切なのではないかと思うので、そこは疎かにならないよう気をつけています。

齋藤 来てくれ方が癒される空間になるように提案、接客、立ち振る舞いを試行錯誤します。私を選んでよかったと思ってもらえるように日々インスピレーションします。お客様にとっての特別な1日になるように。

 結局はお客様にどれだけ寄り添えるかと言う事ですよね。シェービングやシャンプー、エステ等で”触覚”に男性と女性では歴然の差が出ると思います。お顔に触れる圧や指の滑らかさ、手を離すタイミングや速度まで。私は爪切りは絶対使わないですし、ネイルもしません。同業者の方から「本当にシャンプーしているの?」と聞かれるほど、手は綺麗に保っています。とてもデリケートな箇所だからこそ、女性らしい繊細さを活かせると思います。ここはまだまだ探求中ですが(笑)。
「なんか分からないけど、なんか落ち着くよな〜。」というポジションを狙っています。(笑)やっぱり現代人に必要なのは癒しなのかなと思います。技術面だけでなくこういう違う角度からアプローチも大切に思います。

あと、若かりし頃はとにかく明るく元気にやっていれば自然とお客様がついてくれたものですが、10 年目となるとそうはいかなくなってきますね(笑)。

齋藤 10年以上となると、落ち着き、経験、ライフスタイルがとても重要に感じますね。

松島 大人の魅力ですね!

 

「一番大切な事はママさんたちの心の負担を減らしてあげることー」

ー話を労働環境に戻しますが、出産後の仕事継続が容易になるにはどうしたら良いと考えますか?

松島 出産後のライフスタイルに合わせた雇用条件や労働時間、それを認めてくれる周囲の環境が大切など思います。

齋藤 松島さんが話した様に、周囲の環境は大切ですね。出産後の仕事継続にはそれぞれ家族の協力やそれに加えて会社の協力、スタッフの協力がとても必要になってくるかと思います。
一度職場を離れることの劣等感なども経験者がいれば伝えることをおすすめします。
戻れる環境作りもとても大切で、私も女性のスタッフのために色々と考えているところです。

 産休前のようにバリバリ働きたいスタッフもいれば、時間の制約もあるし裏方に徹したいというスタッフもいますので個人にあった働き方が大事だと思います。
一番大切な事はママさんたちの心の負担を減らしてあげることでしょうか。子供の急な病気でどうしても帰らなくてはいけなかったり、お休みを余儀なくされたりする場合がありますよね、そういうことがあると常々「申し訳ない」「迷惑をかけてしまう」という気持ちになってしまいます。急な帰宅やお休みをするようなことがあったとしても、お客様に迷惑かからないような予約管理や常務の振り分けをする事が必要ですね。

ー保育園の急な呼び出し等のサポートは大切ですよね。最近はモラハラ、セクハラなどのワードを良く聞きますがその様な時の対応はどうしたら良いですか?

齋藤 私はあまり無いのでわかりませんが(笑)
もしされたら?先ずは心から話せる人に相談する事ですね。若いスタッフなどにはマメに連絡とり一人で悩む事が無いようにした方が良いですね。

松島 私は受け流すこと、後は実力や結果で見返すことを意識しています。ただ、それが起きないような環境作りが一番大切だと思います。

 社内ではそういうことは一切ないですが、接客中にはちょっとセクハラ紛いなことはありますよね。若い頃はただヘラヘラ笑うくらいしか出来ませんでしたが、いつからかピシャッと制することができるようになりました。女性スタッフは男性のお客様を勘違いさせるような言動、態度は絶対にとらない事でセクハラなど未然に防ぐ事が出来ます。

齋藤 ハラスメント行為は、相手の尊厳を不当に傷つける行為で、会社的にも信用を失う事を認識しなければなりません。ハラスメントに関する理解・知識を持つことで回避が出来ると考えます。
容姿や年齢、不必要に身体を触られた、性的な話など言動には十分な配慮が必要ですね。

ー女性理容師が増える為の「改革」とは?

 やはり今女性理容師が少ないことは確かです。女性が少ないからこそ、女性か活躍したらニュースになります。同じことを成し遂げるでも男性よりも注目されるはず、でもやっぱり人数が少ないから目立ちにくいですね。今回の企画のようにもっと自分達で発信して、世の中にアピールする事ですかね。

松島 現場に立っている私たちがこの仕事の辛さや悪いところだけではなく、楽しさや、やりがいをしっかり周りに伝えていくことだと思います。
現場の人間が実際の現実やいいところを発信してく事、そしてそういった発信する場を作っていければもっと女性理容師は増えるのではと考えています。

齋藤 発信する内容をもっと女性目線のクリーンなbarberのイメージが良いですね。
今はまだbarber=強いイメージなので、ジャンルを問わず理容師を増やせていけたらと思います。イメージ戦略も大切ですね。

 あと、知らないから選ばない職業、先ずは理容師という仕事の良さを丁寧に伝えていくことだと思います。だから今回のこの企画は素晴らしいと思います。もっと皆さんのことが発信されれば最高ですよね。私もまずは発信を…頑張ります(笑)

松島 理容師がテーマの漫画やドラマがあれば良いのにな(笑)

ー自分の未来は?

齋藤 永遠にママさん理容師。
JUNESの拡大とスタンダード化、そしていつかはママさんbarberを展開していきたいと思います。

松島 自分自身の女性としての人生も楽しみながらこの仕事を続けていきたいです。

 今の夢は女性がオーナーのメンズオンリーヘアサロンを作ることです。女性だからできる繊細な仕事や細やかな気遣いを武器にして、今までにない理容室を作ること。ステキな女性スタッフもたくさん集めたいです。若い女性スタッフの育成とママさんたちがより働きやすくなる環境作りに奮闘したいと思います。

―女性ならでは目線でのお話しとても参考になりました。ありがとうございました。

時代の変化にいち早く対応し、まず女性理容師の働き方を変えて環境の整備をしていくことがこれからの時代は大切と考えます。どの業界・職業でも、それまでの常識を変える事は簡単ではありません。しかし、キャリアウーマンとして現場で働く彼女たちの考えを聞くと何が必要かは明確になって行くのではないかと感じます。彼女達の今後の活躍を応援しております。

 

スナックB/B 営業中、理容の働き方改革・これからの時代の働きかた?

●間中健二(まなかけんじ)
1970年9月15日生まれ、東京都出身。株式会社ライオヘアサロングループ管理人/株式会社ソーレ代表取締役

●岩田亮一(いわたりょういち)
1975年6月25日生まれ、千葉県出身。株式会社Joys 代表取締役/株式会社リレーションズ(理美容室向け電子カルテ StoreTouch)/株式会社MALIBU JAPAN(PB Products)/理美容道甲子園 理事

LHSG BARBER’S CLUB (LHSGバーバーズ・クラブ)は、バーバーショップで働く理容師と美容師を対象としたビジネス・コミュニティです。コンテンツ情報、商品情報、イベント情報等メールで配信